加藤シゲアキ「だいじなもの」

〈以下の文章には閃光スクランブル(文庫本)、ピンクとグレー(文庫本)、12月12日発売の野性時代掲載作品「だいじなもの」(ピンクとグレーのスピンオフ)のネタバレを含みますので、まだ未読の方、見たくないと思われる方はブラウザバックをお勧めします。なお、上記3作品は全て加藤シゲアキ著。〉

 
 
多分、もういないんだなぁって、思った。
 
野性時代を買って、「だいじなもの」を読んで、木本目線のピンクとグレーを見て。
 
加藤シゲアキの文章に触れて、感じて。
「あぁ、もう加藤成亮じゃないんだ」って、少しの寂しさを感じた。
れからの加藤シゲアキの活躍を思うと嬉しくもあるけれど、それはやっぱりNEWSが6人だったころ、Jr.で自分が1番だと思っていた頃のキラキラしたアイドルを目指していた加藤成亮ではなく、仕事が無いことで悩んでいた加藤成亮でもなくて。
 
白木蓮吾も、河鳥大も加藤成亮だった。
そして、木本も加藤成亮だったと、気付いた。
 
物語の初めにしか登場しない木本。
ごっちとりばちゃん、そしてサリーが再開したそのとき、幼馴染みでありながらあの場所にいなかった木本。
白木蓮吾と河鳥大と幼馴染みだという事を自慢しながら、利用しながら人との繋がりを作る木本。
河鳥大が書いた「ピンクとグレー」を読んで、自分はごっちとりばちゃんの人生のほんの一部でしか関わっていないことに気付いた木本。
 
木本は何かにしがみついていなければ不安な人間なのかなと思った。
 
ピンクとグレーはごっち、りばちゃん、サリー、木本それぞれの人生が何層にもなって重なっていて、それぞれ部分部分で交錯している。「白木蓮吾、河鳥大、どちらも自分だ」と以前加藤さんが雑誌のインタビューで答えていた。
「ピンクとグレー」は加藤成亮が創り出した物語で、それ故白木蓮吾も河鳥大も、木本も加藤さん自身だと思っている、私は。
劣等感を抱いたり、芸能界を駆け上がるのも加藤さん自身が体験したことで、人気のある人の人生を傍観し、加藤シゲアキという「個」を見つけたのも、きっと加藤さん自身が体験したことだ。
 
閃光スクランブルの45ページで、女性アイドルグループMORSEのコンサート終盤で同グループのメンバー伊藤亜希子は自分だけに見えるジャック(首はなく、手にはジャックオランタンを持つ)に、‘‘お前の魅力ってなんだ”、‘‘お前の魅力ってなんだ。顔か?歌か?ダンスか?どれか一つでも秀でているものがあるのか?”、‘‘運くらいだろうなぁ。お前がもっているものといえば”と問われる場面がある。
 
これはきっと加藤シゲアキが、まだ加藤成亮であったころ、一か月にアイドル誌や自身のラジオ番組等の3つしか仕事がなかったころに、嵐の二宮和也が番組に出演していたのをテレビで見ていて、「このままじゃダメだ」と思い、事務所に「仕事をください」と言いに行った際に事務所の方に言われた言葉にとても近いと思う。実際に言われた言葉は「あなたに何ができるの?」である。きっとそのとき加藤成亮が自分自身に問うた言葉が、ジャックが亜希子に言った言葉であろう。
 
それから加藤成亮は作家デビューと同時に加藤シゲアキに改名したわけであるが、雑誌のインタビュー等で加藤成亮だったころ、を語るときがある。その頃はまだ他のメンバーの仕事や人気に妬みや劣等感を抱いていた、と言っている。
 
今、4人でNEWSとして活動している加藤シゲアキは、まだ自分に目が向けられていないのだろうか。いや、きっとそんなことはないだろう。だって彼は自分と、仕事と真摯に向き合うことで仕事をし、アイドルでありながら小説を書いているのだから。
 

「だいじなもの」を読んで、加藤シゲアキはきっともう加藤成亮には戻らないし、戻れないんだろうなぁ、と思った。きっと、加藤シゲアキは小説を書く事で加藤成亮を昇華しているんだろうなぁ…と。

 
 
木本が白木蓮吾、河鳥大と幼馴染みだということに固執していた自分とさよならしたみたいに。‘‘僕がいるのはここだ。ちゃんとここにいる。”と実感したように。
 
加藤シゲアキは、きっともう加藤成亮ではない。もう加藤成亮はいない。
 
成長していく、殻を破っていく、その瞬間を見せてくれてありがとう。
私は、これからの加藤シゲアキの活躍を願っている。願わずにはいられない。
 

 

 

 

閃光スクランブル (角川文庫)
 

 

 

ピンクとグレー (角川文庫)

ピンクとグレー (角川文庫)

 

 

 

 

 

 

 

小説 野性時代 第146号 (角川文芸ムック)

小説 野性時代 第146号 (角川文芸ムック)

 

 

 

 

 
ここまで読んでいただき有り難うございます。
拙い文章で読みにくい点などあったと思いますが、素人の文章ですので御理解いただけると幸いです。また、私が新規ファンであることも、温かい目で見ていただけたらと思います。
 
 
 
今週の「嵐にしやがれクリスマス90分スペシャル」にピンクとグレーの主演を務める中島裕翔くんと加藤さんが出演されますね。
加藤さんは「二宮くんがテレビに出ていたのを見て、事務所に行って、小説を書くことになったんです。」と二宮さんに伝えるのかな、と内心ドキドキしています。今週の土曜日が楽しみです。もし、その話を加藤さんがして、Twitterで騒いでいるやつがいたら、多分私です。笑
放送が待ち遠しいですね。